ジーン・ワルツ 海堂尊

神秘とさえいえる命が産まれる瞬間。そこに人為的な何かが加わる瞬間、それは神秘なのか?
それについてはいろいろな考え方ができる。その行為は神への冒涜なのか?神への手助けなのか?この疑問に対する回答は簡単にできるものではない。
しかし、法律という規制は無情にも白黒を明確にする。さらに、現場の実状を考えずに決めたとしか思えない規則も数多くある。これらにどう闘ったら良いのだろうか?
医学とは?医療とは?この両方を熟知した筆者が代理母出産というテーマを取り上げて現在の医療制度に対して問題を提起をしている作品。
医療に興味があれば特に面白いと思えるだろう。しかし、中盤でだいたい結末が予想できる上、読み終わってもその予想を裏切らない。ミステリーではないのでそこまで期待をしてはいけないのだろうが、少し残念さが残った。
砂漠 伊坂幸太郎
学生の青春小説というのは今まで読んだ事がないジャンル。読んでみるとなかなか面白く、気づいたらどんどん書の中に引き込まれていった。
この本の最後に主人公のクラスメイトが言う。本当はお前らみたいなやつらと仲間になりたかったんだ、と。何かこの言葉がすごく印象に残った。
主人公が鳥瞰的な視点を持った青年、いわゆる冷めたやつというのが面白い。その視点で進む物語を、独特の文体が面白さをさらに引き上げる。
気楽に読めて、いろいろな意味で楽しめる本である。
永遠の0 百田尚樹
泣いた。素直に泣いた。それも、飛行機の中で。
その時座っていたのは窓側で、よりによって熊本に向かう飛行機。隣の席も空いていたが、一つ席を挟んだ隣には他の乗客が座っていた。その人が気づいていたかどうかは定かではない。しかし、スチュワーデスにはしっかり見られていたと思う。
わかっていたが、どうしても流れ出る涙を止める事が出来なかった。唯一成功したのが、嗚咽を止める事。今から考えると、家で読んで思いっきり泣いてしまっても良かったのではないかとも思う。それだけ気持ちよく泣く事ができた。
本の内容はというと、現代の弁護士を目指す青年が勉強に行き詰まった時、
自分の本当の祖父が特攻隊員であった事を知る。その情報を持ってきたライターの姉からの依頼で、退屈しのぎにどのような祖父だったのかを調べるというもの。彼はいろいろな人から祖父の話を聞いていくなかで、ある疑問が生まれる。
帝国軍人でありながら、禁句と言われた『死にたくない』という言葉を公然と発しながらも最期は特攻してその尊い命を散らす。なぜ祖父は『死にたくない』と言い、それでも特攻して死ぬ運命にあったのか。
彼はいろいろな人に会い話を聞いていくなかで、その真実に次第に気づいていくというもの。読者である私もその真実を垣間見た時から涙が止まらなかった。
主人公の青年も戦争は経験していない。もちろん、私も戦争は経験していない。だからこそ、この本は読むべきだと思う。それだけリアルに感じ、戦争に関わった人たちの想いが伝わってくる、いや、戦争体験者の本当の想いのうちのほんの少しなのだろうが、伝わってきたような気がする。
表現、構成、どれをとっても素晴らしい本だった。百田尚樹に完敗ですな。
東京島 桐野夏生
会社の同僚が本を良く読む。その影響で、自分の中の本の虫が疼いてまず買ったのがこの本。
ベストセラー棚に積まれていたので、正直、好きなタイプの内容ではないが買ってしまった。でも、せっかく買ったので何とか読破。
そもそも、この話は実話に基づいて書かれている話。その実話は『アナタハン島事件』。詳しいことは調べればすぐわかるので割愛。
内容は、遭難してたどり着いた無人島における人間ドラマ。無人島にたどり着いた大勢の中には女性が一人。そのとき、どのようなことが起こるのか?
人間が集まることによって生まれる秩序、渦巻く欲望と人間不信からの猜疑。本来は触れたくない人間の一面を描いた作品。
正直、この中での表現には度肝を抜かれた感がある。内容が面白いというより、多種多様な人の内面をうまく表現しているところに凄さを感じた。
この文章表現を楽しむのもこの本の楽しみ方の一つかもしれない。
で、この物語、今年の夏に映画公開される。キャストをみて、この本のどろどろした雰囲気をどうやって出すのか興味はある。
内容、結末は一緒でも、受ける感じは全く違う物語になってしまうのではと考えるのは私だけだろうか?
どうやら、この本の登場人物、ワタナベのツイッターがあるらしい。
※ワタナベがツイッターですか・・・違和感ありまくり・・・
人を動かす人になれ!
昨今、本当のリーダーが少ないと言われているこの日本の中で、特に製造業においてそのリーダーシップが認められている人物としては、前回取り上げた本の著者であるミスミの三枝会長や、先日のオリンピックのスピードスケート選手の待遇で話題になった日本電算の永守社長も入るだろう。
たまたま今日本屋に行き、リーダーシップに関わる本が陳列されていたのと、Harvard Business Reviewでも今年の2月3月の2ヶ月間、リーダーシップに関わる論文がテーマとして取り上げられていたのもあって、ふと思い立って永守社長の本を読んでみることにした。
非常に読みやすい本である。そして、永守社長の熱い気持ちと、その方向性がよくわかる本だ。書いてある内容はかなり偏りがあるようにも思えるが、そこで言いたいことはよく理解できる。このやり方がすべての会社で当てはまるとは思わないし、同じことをやっても、その本質を理解していないと単なるパワハラになりかねない。本の中で強調されている、叱った後のフォローが大事というところを読み落とすととんでもないことになるのではないかと思う(叱ることが良いことなのかはさておき・・・)。とりあえず、人の上に立つという立場になったことを考えたときに参考になる本であることは確かである。
この本は、人材育成とリーダーシップに関わる内容ではあるが、それとは関係なくこの不況下でも製造業で収益を伸ばしている数少ない会社であるミスミと日本電産の共通点があることもわかる。それは、スピードを重視していることである。人材育成の方向性にも絡むのだが、やはり企業の機動力というのは、競合に対して勝っていくためには重要な要因なのである。頭ではわかっていても、なかなか実戦できないことでもあるのだが。
とまぁ、読みやすい本なので気になったら手に取ってみて良い一冊である。
「日本の経営」を創る
この数年間業績を上げ続けているミスミグループの会長、三枝会長の本。三枝会長は、経営者を育てることに力を入れていることで有名な方。
この本では、これからの日本の経営者はどうあるべきか、そして、どのように育てていくべきかということについて語っています。そして、三枝会長はこれをミスミの中で実践してきています。
本書の中で参考になったのは、
第九章 失われてきた経営者育成の場
第十章 今、求められる経営者人材
これから、経営的な視点を持つようにしたいと思っている方にはお奨めの内容です。
しかし、こんな経営者がいる会社っていいですね。すごく魅力的な会社だと思います。
クリス・アンダーソンのFREE
昨年はあまり読書が進まず、振り返ってみればあまり本を読んでいない一年でした。その反省もふまえ、今日丸善に行く機会があったので、ビジネス書のベストセラーとして店頭に並んでいたこの本を購入することにしました。
この筆者のクリス・アンダーソンといえば、ロングテールの提唱者。だからといって今年最初の本としてこの本を選んだわけではなく、プロローグの部分を読んでみて本のタイトル以上に興味を持ったからです。
プロローグの中で、彼は「無料」という考え方に対して、
無料なんてあるはずない。どうせなんらかの形でお金を払わされるんだ。それは何も新しいことではなくて、昔からあるマーケティング手法じゃないか。「無料」と聞いたときには、財布に手を伸ばして、守った方がいい。
このような意見と
彼らはグーグル世代で、あらゆるサービスが無料であたりまえのオンラインとともに成長してきた。私たちがキャッチボールを学ぶときに、ニュートン力学を自分の中にとりこんで動くように、彼らは限界費用がゼロに近づく経済における市場力学をわがものとしている。無料のまわりに世界規模の経済がつくれるというアイデアは、彼らにとっては自明すぎる事実であって、わざわざ書くまでもないことなのだ。
という意見を挙げ、
「まちがっている」と「自明のことだ」というふたつの意見にわかれる話題は、どんなものであれ、いいテーマに違いない。
と言っています。まぁ、テーゼとアンチテーゼを挙げ、その中に真理を見いだすという弁証法の基本的な考え方に則っているわけですね。
彼が言うように、実際にここから真理を私が見いだせるかどうかは別として、何かしらの新しいビジネスモデルを考える上での参考になるだろうし、これからの時代のビジネスを考える上で読んでおいても損はしない1冊と判断したので購入することにしました。
一見分厚い本で読みにくいように思えますが、結構読みやすい本です。とりあえず読んでも損はしない本としておすすめですね。
知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100
友人に紹介してもらった本。全部読破するというより、必要な場面で辞書的にひいて活用するイメージの本。
よくよく読んでみると、自分が理解しきれていないフレームワークがちらほら。手元においておきたい本ですね。









